認知症ケアにはどういう看護が望ましい?

認知症の症状には、記憶障害や見当識障害、判断力障害などの中核症状の他に、環境や心理状態によってあらわれる不安やうつ、徘徊や妄想、暴言などの周辺症状があります。中でも徘徊はあてもなくさまよい歩く認知症特有の行為ですが、患者さん本人にとっては自分なりの目的があって歩き回ってることも多いです。

また、認知症の患者さんは環境の変化を苦手としており、生活環境が変化すると不安感から認知症の症状がより進んでしまう傾向があります。

認知症を重篤化させないためにはなるべく環境の変化を避け、患者さんそれぞれのペースに合わせて人間関係や生活習慣を一定に保つようにすることが大切になるでしょう。

さらに、自分自身の運動能力の衰えを認められずに行動するため、転倒の危険性も高まります。

そのため、普段から転倒防止に気を配ることも重要なことです。

認知症の患者さんへの看護で重要なのは、なるべくストレスや不安を与えないように普段から話しやすい関係を作っておくということです。

ゆっくりと穏やかに話しかけることを心掛け、患者さんが自分のペースで安心して過ごせるような「落ち着く環境作り」を心掛けましょう。

プライドを傷つけられることを嫌うため、間違いを指摘したり言動を否定したりしないようにも注意が必要です。

患者さんによっては、痛みや体調不良といった自分自身の症状をうまく伝えることが難しい場合もあることから、日頃から表情や行動をチェックしておき、普段と変化がないか見ておくことも重要でしょう。